今回は船外機のチルトモーターについて書いてみたいと思います。知り合いのボートオーナーからも時々チルトモーターの不調が聞かれるので、意外と多いトラブルなのかもしれません。
同じYAMAHA船外機を使っている方の参考になれば嬉しいです。
その他の船外機トラブルについても過去記事に載せています。興味のある方は覗いてみて下さい。 「ハンドルが効かない!?」→https://bruna2.com/steering/
症状
船外機の大きなメリットでもあるチルト機能ですが、自分の船外機でも時々、不調になる事がありました。症状としては最初はチルトアップできたのに急にスイッチを押しても無反応になったり、逆にチルトダウンが出来なくなったりしました。
対処法としてはチルトモーター本体をコンコンと軽く叩くと改善しました。
原因は
チルトモーターが動かなくなる原因は色々あります。
- スイッチの故障(アクセルレバー側)
- 電力・配線の問題
- カーボンブラシの摩耗・接触不良
原因のほとんどは上記のどれかです。
今回の症状ではモーター本体に刺激を与える事で改善(接触不良)しているのでカーボンブラシが一番怪しい事になります。
*モーターが動いているのに油圧がかからない場合はオイル量の減少や油圧調整のネジが緩んでいる可能性があります。
作業内容
簡単にブラシ交換の作業内容を説明したいと思います。
まずは船外機を最大にチルトアップします。自分の船外機の場合はチルトアップが出来なくなっていたので人力で上げました、、、。50馬力以上になるとかなり大変です。
周囲にロープ等を結ぶ物がある環境で行ってください。
*挟まれる危険性があるので出来るだけ一人で作業しないで下さい!
F90BETのチルトモーターは赤丸の位置にあります。
黄色の↑の所にストッパーがあるので作業する際はしっかりロックして下さい!
チルトアップ後は必ずメインスイッチをOFFにするかバッテリーを外して下さい。
モーターが入っているケースは3か所(丸印)ネジ止めされていますが、赤丸のネジを外す際に工具が入らないのでシリンダーとエンジンを分離させなければなりません。*特殊工具を使えばそのままでもできる可能性はあります。
接続部にはサークリップが付いているので外す工具が必要です。
シリンダーを外すとモーター本体が傾くので作業しやすいです。
3つのネジを外してカバーを開けてモーターを取り出しますが、中のバネが飛ぶ可能性があるのでゆっくり引き抜いて下さい。
矢印がブラシ部分で簡単に交換できます。*できればバネも交換して下さい。
写真はブラシが飛び出た状態ですが本来は両方バネを押し込んだ状態で中に入り込んでいます。
矢印の部分(ブラシと接触部)が黒く汚れていると接触不良になるのでサンドペーパー(1000番程度)できれいに磨きます。
ブラシ交換後にモーターを元のように差し込みますが、この作業がとても大変です!!
少し見にくいですが、、、赤線の方向に押し込みます。
イラストが下手ですが、、、。セットすると中はこんな感じになります。
言葉で説明すると『両方のバネをブラシで押し込んだ状態をキープしたまま、モーターを差し込む』だけですが、本当に大変でイライラします。針金やピンセットなどの使えそうな小物を準備して二人で作業して下さい!この大変さは実際に作業しないとわからないと思います、、、。
無事セットできたら、ケースを取り付けてメインスイッチをONにして作動チェックします。問題なく作動したら本体とシリンダーを接続すれば完了です。
*接続前にチルトモーター全体に耐水グリスを塗り付けておくと潮対策になります!
予備知識!
もしも船外機をチルトアップしてモーターが動かなくなった場合は手動で下げる事ができます!
ブラケットの赤丸部分に油圧調整のネジがあります。マイナスドライバーでネジを緩めると油圧を抜いて船外機を下げる事ができるので知っていて損はないと思います。
他の船外機も左右の同じ位置ぐらいにあると思うのでチェックしてみて下さい。
*一気に緩めると挟まれる恐れがあるので注意して下さい。また、緩めたままだと油圧がかからないので締め直して下さい。
自信がなければ、、、
今回紹介したカーボンブラシの交換ですが船外機に挟まれる危険性や少し手先の細かい作業がある為、ある程度の知識や経験が必要です。
普段、全く機械などを触った事のない初心者は業者に依頼する事をおすすめします。
それでも挑戦してみたいと思っている方は同じような船外機を使っている知り合いや、車など機械に詳しい人と作業して下さい!
このブログが少しでも役立てば嬉しいです。
快適なマリン生活を楽しみましょう!
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