今回は漁船(船内機)の軽石対策について書いてみたいと思います。同じ羽地漁協の組合員が実際に改造している冷却システムを見せてもらいました。
羽地内海は特に軽石の被害が大きく、その軽石の中も問題なく航行する事が出来ています。
これから本州にも影響が及ぶ恐れもあるので漁船を所持(船内機)している方の参考になれば嬉しいです。*実施については自己責任で行ってください。
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現在の羽地内海
2021年12月15日撮影
風向きによって直ぐに移動しますが、羽地内海には相当量の軽石が溜まっています。
船が通ると道が出来ます。最大の場所で20cm程度の厚みがあります。船体と軽石が擦れて「シャリシャリシャリ」と音がします。
漁港内も軽石で一杯です。着岸時には船体と壁の間に軽石が挟まるので、ロープを強く引っ張って船体を壁に寄せます。
一番の問題
船舶のエンジンは海水を汲み取って冷却している為、吸水口やフィルターが軽石で詰まりオーバーヒートする事が一番の問題です。その為、冷却水を確保する事が一番の解決策です。
船底にある吸水口(キングストン)。
少し見づらいですが、冷却水フィルター。
改造方法
改造方法は主に2パターンあります。
- フィルターを2つにする方法
- イケスから吸水する方法
それぞれ細かく説明したいと思います。
【フィルターを2つにする方法】
元々2つ付いている船もあるようです(大型船)。
吸水口のホースを分岐させて切り替え式にします。片方が詰まったら切り替えて掃除します。
取り外した状態。掃除自体は簡単ですが、フィルターがエンジン部分にあるので見にくい事が難点です。運転席の下にある場合が多いと思います、、、。
カメラを設置して運転席のモニターで確認できるようにしている人もいるようです。
もう一つの欠点が、、、。
吸水口(キングストン)が詰まる事です。*実際に詰まりました。
その為、吸水口の穴を大きめにしてフィルターで軽石を回収する方が効率的です。
船底にある吸水口(キングストン)が詰まった場合、潜って軽石を取り除くか船を陸揚げしなければなりません。
【イケスから吸水する方法】
イケス自体にフィルター機能を作って軽石を取り除きます。
*従来のフィルターも使用。
従来の船底からの配管とイケスからの配管が切り替えられるようになっています。
この方法の一番のメリットは確認しやすい事です。
イケスの蓋を開ければ直ぐに確認できて、溜まってきたら網ですくって取り除くことも出来ます。
船によってイケスやエンジンの位置が違うので配管が難しいデメリットはあると思いますが、とても効果的な方法です。
イケスには2ヵ所以上吸水口が開いているので詰まる心配も少ないです。詰まっても船上から細い棒でつついて取り除くことも可能です。
*特に軽石の多い場所を航行する場合、イケスの吸水口が詰まり水量が減る為注意が必要です!定期的にイケスの水量を確認しながら航行して下さい。
ベストは、、、
今回2パターンの改造方法を紹介しましたが、ベストな形は両方を取り入れる事だと思います。
予算の問題や軽石がいつまで漂流するかわからないので、正直判断に悩むところです。
しかし、オーバーヒートしてエンジンを壊してしまう可能性があるので過剰になるぐらい対策していた方が安心だと思います。
その他の対策
機械的なハード面の他にも対策出来ることがあります。
それは軽石がある所では【出来るだけアイドリングしない!】事です。一番軽石を吸うのは止まってアイドリングしている状態の時です。
少しでも船が動いていれば軽石が溜まっている場所を航行してもあまり吸わないので、それを意識するだけでも効果的です。
日頃のメンテナンスや計器類の確認(特に温度計)をしっかり行い、トラブルのない航行にしましょう!
このブログが少しでも役立てば嬉しいです。
*船外機の軽石対策についても今後載せていく予定です。
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